終活・相続の羅針盤

50代、思い立ったが吉日! 私が始めたエンディングノートと生前整理

「終活」なんて、まだ先のことだと思っていました

正直に言うと、数年前まで「終活」という言葉に少し抵抗がありました。「縁起でもない」「まだ元気なのに」と。夫も同じような考えでした。子供たちも独立し、夫婦二人の生活にも慣れてきた頃、一番の関心事は健康や趣味のこと。まさか自分が終活について考える日が来るとは思っていませんでした。

きっかけは、定期的に受けている健康診断の結果と、親友のお母様が急に亡くなられたことでした。幸い私の健康診断の結果は大きな問題はなかったのですが、「いつ何が起こるかわからない」という当たり前の事実に、妙に実感がこもってしまったのです。親友は、お母様が何も準備をされていなかったため、葬儀の手配から様々な手続き、そして遺品整理まで、本当に大変な思いをしていました。「うちも、もし夫や私に何かあったら、子供たちに同じような苦労をかけてしまうかもしれない…」そう思ったのが、終活を意識し始めた最初の出来事です。

第一歩は「エンディングノート」から

とはいえ、何から手をつければいいのか分からず、まずは本屋さんで「終活」関連のコーナーへ。そこで手に取ったのが「エンディングノート」でした。様々な種類がありましたが、あまり難しく考えず、シンプルで書きやすそうなものを選びました。

家に帰って早速開いてみましたが、いざ書こうとすると筆が止まってしまう項目も。「自分のこと」の欄に、血液型やアレルギーを書くのは簡単でしたが、「延命治療の希望」などはすぐには決められませんでした。

「完璧に書こうとしなくていいんだ。書けるところから、少しずつ埋めていこう」

そう思い直し、まずは銀行口座(銀行名と支店名だけ)、加入している保険(会社名と種類だけ)、親戚や友人の連絡先など、事実情報を記録することから始めました。これだけでも、「万が一の時に、家族が情報を探す手間が少しは省けるかな」と思うと、少し安心できました。葬儀についても、「派手なものは望まない、家族だけでこぢんまりと」という希望だけ、簡単に書き留めました。

→ エンディングノートについて詳しく

次は「生前整理」。まずはクローゼットから挑戦!

エンディングノートと並行して、気になっていたのが「物の整理」、いわゆる生前整理です。我が家は決して広くないのに、物は増える一方。特に私のクローゼットは、もう何年も着ていない洋服でパンパンでした。

「よし、まずはここから!」と決意し、週末に時間を取って中の物を全て出してみました。その量に改めてびっくり(笑)。「1年以上着ていない服は手放す」という自分ルールを設け、一枚一枚向き合いました。

若い頃のお気に入りの服、高かったけれど結局あまり着なかった服…。思い出が蘇ってきて、なかなか作業が進まないこともありました。でも、「今の私に必要か?」「これがないと困るか?」と問いかけながら、思い切って「ありがとう」と感謝して手放すことに。まだ着られそうなものはリサイクルショップへ、傷んでいるものは処分しました。

「一日では終わりませんでしたが、クローゼットがスッキリすると、不思議と頭の中まで整理されたような、清々しい気持ちになりました。」

次は本棚に挑戦しようと思っています。これも手強そうですが…(笑)。

→ 生前整理・断捨離について詳しく

家族との関わりと、これからのこと

始めた当初は夫に内緒で進めていましたが、ある程度エンディングノートが埋まってきた段階で、「実はね…」と話してみました。夫は最初、やはり少し驚いた様子でしたが、「確かに、何かあった時に子供たちに迷惑はかけられないな」「どこに何があるか分かるようにしておくのは大事だ」と、最終的には理解してくれました。今は、保険のことなど、夫にしか分からない情報もノートに書き加えてもらっています。

子供たちにも、「こういうノートを書いているよ」「大事な書類はここにまとめてあるよ」ということは伝えています。無理強いはせず、でも存在は知っておいてもらう、というスタンスです。

終活はまだ道半ばです。医療や介護の希望については、もう少し時間をかけて考え、家族とも話し合いたいと思っています。でも、始めてみて分かったのは、終活は決して「死ぬための準備」ではなく、「今とこれからを、より安心して、自分らしく生きるための準備」なのだということです。

これから終活を始める方へ

もし、私のように「まだ早いかな」「何から始めれば…」と思っている方がいらっしゃったら、ぜひ「思い立ったが吉日」で、小さなことから始めてみることをお勧めします。

エンディングノートを一冊買ってみる、引き出しを一つだけ整理してみる。そんな小さな一歩が、未来の自分と家族の安心につながるはずです。完璧を目指さず、ご自身のペースで、前向きに取り組んでみてください。

※ この体験談は、個人の経験に基づいたものであり、すべての方に当てはまるものではありません。終活の進め方や考え方は人それぞれです。ご自身の状況に合わせて、専門家への相談などもご検討ください。