税理士について(終活・相続)
相続税の計算・申告や、生前の節税対策は、税金の専門家である「税理士」の
重要な役割です。税理士に相談できることや探し方について解説します。
税理士の主な役割と得意分野(終活・相続関連)
税理士は税務に関する専門家であり、相続においては特に相続税に関する業務が中心となります。税務相談、税務書類の作成、税務代理は税理士の独占業務です。
- 相続税額の計算・シミュレーション:相続財産の評価に基づき、納付すべき相続税額を正確に計算します。生前に相談すれば、将来の相続税額の試算も可能です。
- 相続税申告書の作成・提出代理:複雑な相続税申告書を作成し、相続人に代わって税務署へ提出します。(※税理士の最も重要な役割の一つ)
- 生前の相続税対策(節税)のコンサルティング:生前贈与、生命保険、不動産活用(小規模宅地等の特例など)といった様々な節税策について、個々の状況に合わせた最適なプランを提案・実行支援します。→ 相続税対策について詳しく
- 相続財産の評価(税務評価):相続税計算の基礎となる財産(特に不動産や非上場株式など)を、国税庁の定める財産評価基本通達に基づいて評価します。
- 所得税の準確定申告:亡くなった方のその年の所得税の申告(準確定申告)を代行します。
- 税務調査への対応:相続税申告後に税務署の調査が入った場合に、相続人の代理として対応します。
- 事業承継に関する税務アドバイス:事業用資産や自社株の承継に伴う税金問題についてアドバイスします。
相続税申告は税理士にお任せするのが一般的
相続税申告は、財産評価や特例適用の判断が非常に複雑であり、専門知識が不可欠です。申告が必要なケースでは、相続税専門の税理士に依頼するのが一般的であり、最も安全で確実な方法と言えます。
税理士に相談すべきケース
以下のような場合は、税理士への相談を検討しましょう。
- 相続財産の総額が基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人数)を超えそうで、相続税申告が必要と思われる場合。→ 相続税の基礎知識
- 相続税申告書の作成・提出を依頼したい場合。
- 不動産や非上場株式など、評価が難しい財産がある場合。
- 小規模宅地等の特例など、相続税の特例や控除の適用を受けたい場合。
- 生前に相続税対策(節税)について相談したい、具体的なプランを立てたい場合。
- 税務署から相続税に関する問い合わせや税務調査の連絡があった場合。
- 亡くなった方の準確定申告が必要な場合。
税理士の探し方
相続税に詳しい税理士を見つけるための方法には、以下のようなものがあります。
- 1. 税理士会・税理士協同組合の紹介
- 日本税理士会連合会や、各地域の税理士会・税理士協同組合に問い合わせると、相続税に詳しい税理士を紹介してもらえる場合があります。無料相談会などを実施していることもあります。
- 2. インターネットで検索する
- 「税理士 相続税 (地域名)」などのキーワードで検索します。相続税は専門性が高い分野なので、法人税務や所得税務がメインの税理士ではなく、「相続税専門」「資産税に強い」といった点をウェブサイト等で確認することが重要です。相続税専門のポータルサイトもあります。
- 3. 金融機関(銀行・証券会社)からの紹介
- 取引のある銀行や証券会社に相談すると、提携している相続専門の税理士を紹介してくれることがあります。
- 4. 他の専門家(弁護士・司法書士など)からの紹介
- 相続手続きで関わっている弁護士や司法書士がいれば、連携している税理士を紹介してもらえることがあります。
- 5. 知人からの紹介
- 実際に相続税申告を依頼した経験のある知人からの紹介も参考になりますが、その税理士が本当に相続税に精通しているか、ご自身のケースに合っているかは別途確認が必要です。
ポイント:「相続税に詳しい」税理士を選ぶこと!
税理士の業務範囲は非常に広いですが、全ての税理士が相続税に精通しているわけではありません。相続税の経験が豊富な税理士を選ぶことが、適切な申告と節税につながる鍵となります。
税理士選びのポイント
専門家選び方ガイドも参考に、以下の点を特に確認しましょう。
- 相続税の申告実績・経験:年間どのくらいの相続税申告を手がけているか、複雑な案件の経験はあるかなどを確認しましょう。
- 説明の分かりやすさ:税金の専門用語を分かりやすく説明してくれるか、質問に丁寧に答えてくれるか。
- 費用体系の明確さ:相続税申告の報酬は、一般的に遺産総額に応じた料金体系(例:遺産総額の0.5%~1%程度)が多いですが、事前に明確な見積もりを書面で提示してもらいましょう。追加費用の有無も確認。
- コミュニケーション・相性:相談しやすいか、レスポンスは早いかなど、信頼関係を築ける相手かを見極めましょう。
- 他の専門家との連携:必要に応じて弁護士や司法書士と連携できる体制があるかも確認すると良いでしょう。
多くの税理士事務所では初回相談を無料または低価格で行っていますので、積極的に活用しましょう。
税理士費用について
税理士に相続税関連業務を依頼する場合の費用は、依頼内容や遺産総額、財産の複雑さによって大きく異なります。
- 相続税申告:最も一般的な依頼。報酬は遺産総額に対する割合で計算されることが多いです(例:0.5%~1.0%程度)。不動産や非上場株式など評価が複雑な財産が多い場合や、相続人の数が多い場合などは加算されることがあります。最低報酬額が設定されている場合もあります。
- 生前対策コンサルティング:時間制(タイムチャージ)や、対策内容に応じた定額報酬、顧問契約などの場合があります。
- 税務調査立会い:日当や成功報酬などがかかる場合があります。
- 相談料:初回無料の場合もありますが、2回目以降は時間制(例:1時間1万円~)が一般的です。
契約前に必ず見積もりと契約内容を確認
依頼する業務の範囲と、それに対する費用を明確にした見積書(契約書)を必ずもらい、内容を十分に理解・納得してから依頼しましょう。
相続税の不安は税理士に相談を
相続税に関する手続きや対策は専門的な知識が必要です。
基礎控除を超える可能性がある場合や、節税対策に関心がある場合は、
できるだけ早い段階で相続税に詳しい税理士に相談することをお勧めします。