終活・相続の羅針盤

葬儀について

葬儀は故人を偲び、送り出すための大切な儀式です。近年は、従来の形式にとらわれず、故人や家族の意向を反映した多様なスタイルが選ばれるようになっています。事前に希望を考え、家族と共有しておくことで、いざという時の負担を軽減できます。

葬儀の種類

一般葬
従来から行われている形式。通夜・告別式を行い、家族・親族だけでなく、友人・知人・会社関係者など、広く参列者を招きます。
家族葬
家族や親族、親しい友人など、ごく近しい関係者のみで行う小規模な葬儀。費用を抑えられ、ゆっくり故人を偲べるメリットがあります。
一日葬
通夜を行わず、告別式と火葬を一日で行う形式。遺族の負担(時間的・体力的)を軽減できます。
直葬(火葬式)
通夜・告別式を行わず、火葬のみを行う最もシンプルな形式。費用を大幅に抑えられます。
自然葬(散骨など)
遺骨を粉末状にして、海や山などの自然に還す方法。法律や条例、マナーを守る必要があります。
無宗教葬
特定の宗教儀礼によらず、自由な形式で行う葬儀。音楽演奏や思い出の品を飾るなど、故人らしさを表現できます。

葬儀費用の目安と内訳

葬儀費用は、形式、規模、地域、内容によって大きく変動します。あくまで目安ですが、全体で数十万円~数百万円程度かかることが多いです。(直葬などはより低価格)

主な費用の内訳
項目内容例
葬儀一式費用会場費、祭壇、棺、遺影、司会、人件費など(葬儀社プランに含まれることが多い)
飲食接待費通夜振る舞い、精進落としなどの飲食代、返礼品代
寺院費用お布施(読経料、戒名料など) ※宗教による
その他火葬料、寝台車・霊柩車代、供花代、心付けなど

費用を抑えるには

葬儀の規模を小さくする(家族葬など)、プラン内容を見直す、公営斎場を利用する、などの方法があります。複数の葬儀社から見積もりを取り、比較検討することが重要です。

葬儀社の選び方

  • 情報収集と比較:インターネットや紹介などで複数の葬儀社をリストアップし、見積もりを取って比較する。
  • 明確な料金体系:プラン内容と追加費用の有無をしっかり確認する。不明瞭な点がないか質問する。
  • 丁寧な対応:こちらの希望や質問に親身に耳を傾け、分かりやすく説明してくれるか。
  • 実績と評判:地域での実績や口コミ、利用者の評判なども参考にする。
  • 立地と設備:斎場の場所や設備(安置施設、控室など)が希望に合っているか確認する。

可能であれば、生前に相談会に参加したり、事前相談をしておくと、いざという時に慌てずに済みます。

生前契約について

生前に葬儀社と契約を結び、内容や費用を決めておく「生前契約」という方法もあります。希望通りの葬儀を実現しやすく、家族の負担を減らせるメリットがありますが、契約内容の変更が難しい場合や、会社の倒産リスクなども考慮する必要があります。契約内容は慎重に確認しましょう。

事前に決めておきたいこと(葬儀)

  • 希望する葬儀の形式と規模(誰に参列してほしいか)
  • 宗教・宗派の有無と、希望する儀礼
  • 予算の上限
  • 遺影に使ってほしい写真
  • 葬儀で流してほしい音楽や、飾ってほしい思い出の品など
  • 訃報を伝えてほしい人のリスト
  • 喪主を誰にお願いしたいか

これらの希望はエンディングノートなどに記しておきましょう。→ エンディングノートについて


お墓・納骨について

火葬後の遺骨を納める場所も、近年選択肢が増えています。従来の家墓だけでなく、管理の負担が少ない方法や、自然に還る方法も選ばれています。

納骨先の種類

一般墓(家墓)
墓地に区画を取得し、墓石を建てて代々承継していくお墓。費用は高めですが、家族のシンボルとなります。承継者が必要です。
永代供養墓
承継者がいなくても、霊園や寺院が永代にわたって遺骨の管理・供養をしてくれるお墓。合祀墓(他の人と一緒に埋葬)や、個別安置期間付きなど様々です。
納骨堂
屋内に設けられた遺骨の収蔵スペース。ロッカー型、仏壇型、自動搬送型などがあります。天候に左右されずお参りしやすいのが特徴です。
樹木葬
墓石の代わりに樹木をシンボルとし、その下に遺骨を埋葬する方法。自然志向の方に人気。個別区画や集合型などがあります。
散骨
遺骨を粉末状にして海や山などに撒く方法。節度を守り、許可された場所で行う必要があります。専門業者に依頼するのが一般的です。
手元供養
遺骨の全部または一部を、自宅で保管・供養する方法。小さな骨壺や、遺骨を加工したアクセサリーなどがあります。

お墓の費用

お墓の種類によって費用は大きく異なります。一般墓が最も高額になる傾向があります。

  • 一般墓:永代使用料(土地代)+墓石代+工事費+年間管理費。数百万円~が目安。
  • 永代供養墓:数十万円~百数十万円程度(プランによる)。年間管理費不要の場合も。
  • 納骨堂:数十万円~百数十万円程度(タイプによる)。年間管理費が必要な場合が多い。
  • 樹木葬:数十万円程度~(形式による)。年間管理費不要の場合も。
  • 散骨:数万円~数十万円程度(業者やプランによる)。
  • 手元供養:数万円程度~(骨壺や加工品による)。

※費用はあくまで目安であり、地域や内容によって変動します。

お墓選びのポイント

  • 場所・アクセス:お参りに行く人のことを考え、交通の便が良いか。
  • 費用:初期費用だけでなく、維持管理費(年間管理費など)も含めて検討する。
  • 宗教・宗派:宗旨・宗派が問われるか(特に寺院墓地)。
  • 承継者の有無:誰が将来お墓を管理していくか。承継者がいない場合は永代供養などを検討。
  • 管理状況・雰囲気:現地の環境や管理体制を確認する。
  • 契約内容:永代供養の期間や内容、改葬(お墓の引っ越し)の可否などを確認する。

墓じまい・改葬

お墓の承継者がいないなどの理由で、既存のお墓を撤去し、遺骨を別の場所(永代供養墓など)に移す「墓じまい」「改葬」が増えています。行政手続きや元の墓地の管理者との調整、費用(墓石撤去費など)が必要です。

事前に決めておきたいこと(お墓)

  • 希望する納骨の方法(上記の種類から)
  • 希望する場所やエリア
  • 予算
  • 宗教・宗派に関する希望
  • 誰にお墓の管理・供養をお願いしたいか(承継者)
  • 既存のお墓をどうするか

これらもエンディングノートなどに記し、家族と話し合っておきましょう。

あなたらしいエンディングのために

葬儀やお墓は、人生の締めくくりに関わる大切な事柄です。
元気なうちに情報を集め、ご自身の希望を考え、家族と話し合っておくことが、
あなた自身と、残される家族双方の安心につながります。

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