お金と財産の整理・管理(終活視点)
終活における「お金と財産の整理」は、相続対策だけでなく、
ご自身の現状を把握し、将来に備えるための大切なステップです。
このページの目的
このページでは、主にご自身が元気なうちに、お金や財産に関する情報を整理・管理し、将来の生活やもしもの時に備えるという「終活」の視点から解説します。
遺言書の作成、具体的な相続税対策、遺産分割など、「相続」に関する詳細な計画や手続きについては、「相続の羅針盤」カテゴリをご覧ください。
なぜ終活でお金・財産の整理が必要?
- 現状把握と安心感:自分がどれだけの資産(プラス・マイナス共に)を持っているか正確に知ることで、漠然としたお金の不安を軽減できます。
- 将来の資金計画:老後の生活費、医療費、介護費、葬儀費用など、将来必要となる資金を見積もり、計画的に備えることができます。
- 判断能力低下への備え:認知症などで判断能力が低下した場合でも、資産状況が整理されていれば、家族や後見人が管理しやすくなります。
- 相続準備の基礎固め:資産リストは、遺言作成や相続税対策を検討する上での基礎資料となります。
- 家族の負担軽減:死後、家族が資産や負債の調査に手間取るのを防ぎ、手続きをスムーズに進める助けになります。
- 不要な契約の見直し:整理を通じて、使っていない口座や不要なサービス契約などを見直し、無駄を省くきっかけになります。
整理すべきお金・財産の情報リスト
以下の項目について、情報をリスト化し、関連書類の保管場所を明確にしておきましょう。
- 預貯金:銀行名、支店名、口座種類(普通・定期等)、口座番号、おおよその残高、ネットバンキング情報(ID等)の保管場所
- 有価証券:証券会社名、口座番号、株式・投資信託等の銘柄や数量、保管場所
- 不動産:所在地、種類(土地・建物)、名義、権利証(登記識別情報通知)の保管場所、固定資産税評価額、住宅ローンの有無
- 生命保険・損害保険:保険会社名、証券番号、種類、保障内容、受取人、保険証券の保管場所
- 年金:基礎年金番号、年金手帳やねんきん定期便の保管場所、受給口座
- ローン・借金:借入先、借入残高、返済状況、契約書の保管場所
- その他資産:自動車、貴金属、骨董品、ゴルフ会員権、暗号資産(仮想通貨)など
- クレジットカード:カード会社名、カード番号(下4桁など)、主な用途、引き落とし口座
- 電子マネー・ポイント:主なサービス名、おおよその残高やポイント
- 貸付金・未収入金:誰にいくら貸しているか、返済状況など
※エンディングノートにこれらの詳細情報を直接書き込むのではなく、「どの銀行に口座があるか」「保険証券はどこに保管しているか」といった情報やリストの保管場所を記すのが安全です。
整理・管理の進め方 5ステップ
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リストアップ(棚卸し)
まずは上記リストを参考に、ご自身の資産と負債を全て書き出して「見える化」します。漏れがないように確認しましょう。
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関連書類の収集と整理
通帳、証券、権利証、保険証券、契約書などの重要書類を一箇所にまとめて保管します。ファイルボックスなどで分類すると分かりやすいです。
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口座・契約の見直しと集約
使っていない銀行口座やクレジットカードは解約を検討しましょう。複数の金融機関に分散している資産を、管理しやすいように集約することも有効です。
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デジタル情報の整理
ネットバンキングやオンライン証券のID・パスワード(またはその保管場所の情報)を安全な方法で記録・整理します。→ デジタル終活へ
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定期的な見直しと情報共有の準備
作成したリストや書類の保管場所は、年に一度など定期的に見直し、最新の状態に保ちます。エンディングノートなどを活用し、リストや書類の保管場所を信頼できる家族に伝えておく準備をしましょう。
将来の資金計画と管理への備え
資産状況を把握したら、将来の資金計画を立て、管理方法についても考えておきましょう。
- 老後の収支を試算する:年金収入と予想される生活費を基に、資金が不足しないか確認します。
- 医療・介護費用を見積もる:将来必要になる可能性のある医療費や介護費用(施設入居費など)を考慮に入れます。公的制度(介護保険など)の利用も前提に考えましょう。
- 葬儀・お墓費用を準備する:希望する形式に応じて、必要な費用を準備する方法(預貯金、保険など)を検討します。→ 葬儀・お墓について
- 判断能力低下時の管理方法:認知症などに備え、お金の管理をどうするか検討します。例えば、公共料金の自動引き落とし設定、信頼できる家族へのキャッシュカードの預け方(リスクも考慮)、日常生活自立支援事業、任意後見制度、家族信託などの利用が考えられます。(※任意後見や家族信託は専門家への相談が必要です)
専門家への相談も検討
資産状況の整理、将来の資金計画、相続への備えなど、ご自身だけでは難しいと感じる場合や、より専門的なアドバイスが必要な場合は、専門家の力を借りることも有効です。
- ファイナンシャル・プランナー(FP):ライフプランニング、資金計画、保険の見直しなど、総合的なお金の相談。
- 税理士:相続税対策、生前贈与など、税金に関する相談。
- 弁護士・司法書士:遺言書作成、任意後見、家族信託など、法的な手続きに関する相談。
まずは現状把握から始めましょう
お金や財産の整理は、時に手間がかかりますが、将来の安心につながる大切な作業です。
完璧を目指さず、まずはご自身の資産と負債をリストアップすることから始めてみませんか?