各種相続手続きについて
遺産分割協議がまとまった後、または遺言書に基づいて、
不動産、預貯金、株式などの名義変更や解約といった具体的な手続きが必要になります。
ここでは主な手続きの概要と窓口をご紹介します。
主な相続手続き一覧
不動産(土地・建物)
- 手続き内容:
- 相続登記(所有権移転登記)
- 主な窓口:
- 不動産の所在地を管轄する法務局(登記所)
- ポイント:
- 【義務化】2024年4月より義務化。原則、相続を知った日から3年以内に申請が必要。必要書類が多く手続きも複雑なため、司法書士に依頼するのが一般的。→ 相続登記義務化
預貯金
- 手続き内容:
- 解約・払い戻し、または名義変更(金融機関による)
- 主な窓口:
- 各金融機関(銀行、信用金庫、信用組合、JA、ゆうちょ銀行など)
- ポイント:
- 金融機関ごとに所定の用紙や必要書類が異なるため、事前に確認が必要。遺産分割協議書または遺言書、戸籍謄本一式、相続人全員の印鑑証明書などが基本的に求められる。
株式・投資信託などの有価証券
- 手続き内容:
- 名義書換(相続人の証券口座へ移管)
- 主な窓口:
- 証券会社、信託銀行(株式事務代行)
- ポイント:
- 相続人がその証券会社に口座を持っていない場合は、まず口座開設が必要。証券会社所定の依頼書、戸籍謄本、遺産分割協議書(または遺言書)などが必要。単元未満株などの扱いは要確認。
自動車
- 手続き内容:
- 移転登録(名義変更)
- 主な窓口:
- 新しい所有者の住所地を管轄する運輸支局または自動車検査登録事務所
- ポイント:
- 車検証、戸籍謄本、遺産分割協議書(または遺言書)、新しい所有者の印鑑証明書、車庫証明書などが必要。自動車税の扱いも確認。
生命保険金
- 手続き内容:
- 死亡保険金の請求
- 主な窓口:
- 契約している生命保険会社
- ポイント:
- 指定された受取人が請求。保険証券、死亡診断書、受取人の本人確認書類、戸籍謄本などが必要。保険会社所定の請求書を使用。
公共料金・クレジットカード・その他契約
- 手続き内容:
- 名義変更、支払い方法変更、または解約
- 主な窓口:
- 各契約会社(電力、ガス、水道、電話、インターネット、NHK、クレジットカード会社、各種サービス会社など)
- ポイント:
- 故人宛の郵便物や銀行口座の引き落とし履歴などを確認し、契約先をリストアップ。各社に連絡し、手続き方法を確認。未払い料金があれば精算が必要。
借金・ローン
- 手続き内容:
- 債権者への連絡、返済
- 主な窓口:
- 各債権者(金融機関、カード会社など)
- ポイント:
- 単純承認した場合は、相続人が返済義務を引き継ぐ。遺産分割協議で誰が負担するか決めた場合でも、債権者との関係では法定相続分に応じて責任を負うのが原則。相続放棄した場合は、家庭裁判所の「相続放棄申述受理証明書」を提示。
年金
- 手続き内容:
- 年金受給権者死亡届、未支給年金請求、遺族年金請求
- 主な窓口:
- 年金事務所、市区町村役場(国民年金の場合)
- ポイント:
- 亡くなった方の年金受給を止め、まだ支払われていない年金があれば請求。遺族が遺族年金を受け取れるか確認し、該当する場合は請求手続きを行う。
健康保険・介護保険など
- 手続き内容:
- 資格喪失手続き、保険証の返却、埋葬料・葬祭費の請求
- 主な窓口:
- 市区町村役場、健康保険組合、後期高齢者医療広域連合など
- ポイント:
- 加入していた保険制度に応じて手続き。葬儀費用の一部が支給される制度(埋葬料・葬祭費)があるので、忘れずに請求する。
手続きに共通して必要になる主な書類
多くの相続手続きでは、以下の書類の提出が求められます。手続き先によって必要部数や有効期限(発行後3ヶ月以内など)が異なる場合があるので、事前に確認し、まとめて取得しておくと効率的です。
- 被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの連続した戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本
- 相続人全員の現在の戸籍謄本
- 相続人全員の印鑑証明書
- 遺産分割協議書(相続人全員の実印が押印されたもの) または 遺言書
- 被相続人の住民票の除票 または 戸籍の附票
- 財産を相続する人の住民票
- (その他、手続き先所定の申請書・依頼書など)
手続きの進め方のポイント
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やるべき手続きをリストアップする
相続財産や契約状況に応じて、必要な手続きを全て洗い出しましょう。
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必要書類を把握し、早めに準備する
戸籍謄本などの収集には時間がかかることもあります。各手続きに必要な書類を確認し、まとめて取得を進めましょう。
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期限のある手続きを優先する
相続税申告(10ヶ月)や相続登記(3年)など、期限のある手続きを意識してスケジュールを立てましょう。
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各窓口に事前に確認する
金融機関や役所など、手続き先によって必要書類や手順が異なる場合があります。事前に電話やウェブサイトで確認するとスムーズです。
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専門家への依頼も検討する
手続きの種類が多い、内容が複雑(特に不動産登記)、平日に時間が取れないなどの場合は、司法書士、行政書士、税理士などの専門家に依頼することも有効です。
一つずつ着実に手続きを進めましょう
相続手続きは多岐にわたりますが、必要な書類を準備し、各窓口で確認しながら進めれば必ず完了できます。
リストアップして、優先順位をつけながら、落ち着いて取り組みましょう。